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賃貸マンション・アパートにまつわるトラブル(騒音・漏水・煙草・訪問販売・鍵の紛失・共用部分・家賃の滞納・敷金返還・原状回復等々)を、下世話に、馴れ馴れしく、クドクドと、そして極めて偏った立場で解決を試みるサイト「賃貸トラブルQ&A」。役に立つ情報より立たない情報の方が多いかも。最初に謝っておきます。ゴメンナサイ。

賃貸トラブル・ライター

賃貸トラブル・プロフィール画像

Author : ぴーたん

賃貸住宅・火災保険等に長く携わる流れ者。よく出没する場所はホームセンターの駐車場。会う人逢う人に「スマホで宅建」をゴリ押しする「松本佳也推し」でもある。最近の趣味は「拭き掃除」とのこと。

賃貸トラブルQ&A  >  敷金・原状回復  >  タバコのヤニで汚れた内装は入居者負担?

賃貸トラブル・質問

ヘビースモーカーなんだけど、賃貸アパートの原状回復費でクロスの全面張り替え代を請求されたんだわ。これって自然損耗じゃないの?

賃貸トラブル・タバコのヤニが付いた部屋のイラスト
賃貸トラブル・回答

煙草のヤニ汚れは自然損耗とは認められてないぞ。部屋中に煙が廻るから部分損耗にもならんしな。アキラメロ(笑)

平成24年度の調査によると、日本人の喫煙率は20.4%で昨年より増加傾向にあるそうな。
このうち何パーセントが賃貸住まいなのかは知らんけど、喫煙賃貸ユーザーと切っても切れないのが「原状回復トラブル」だよな。
…余談だけど、退去立会に行って室内がまっ茶になった部屋を見ると、やっぱタバコって健康に良くないンだろうなって実感するわ(笑)

①そもそも「自然損耗」って何だ?

おそらく本家本元よりも全国的に有名な賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」(通称・東京ルール)があるが、今回はお家元である国土交通省の原状回復をめぐるトラブルとガイドラインに基づいて話を進めるわな。
これによると「賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの」は「経年劣化」もしくは「通常損耗」であり、賃貸人(貸主)が負担するものだと定義してる。
例を挙げると、

  • 日照等の自然現象によるクロスの変色
  • テレビ、冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(電気ヤケ)
  • 壁に貼ったポスター等の跡、及び画鋲・ピン等の穴
  • エアコン(賃借人所有)設置による壁のビス穴、跡

画鋲・ピン穴については下地材(石膏ボード等)の補修の要らないものな。
これらについては全て通常使用による損耗、つまり「自然損耗」に分類されている。

②タバコのヤニ・臭いは「自然損耗」じゃないぞ

じゃあタバコのヤニはどうなのよ、と。これもキッチリ明記されててさ、
「喫煙等によりクロス等がヤニで変色したり臭いが付着している場合は、通常の使用による汚損を超えるものと判断される場合が多いと考えられる」だそうだ。
まあそりゃそうだわな、煙草はあくまで「嗜好品」であり、吸う吸わないは「個人の勝手でしょ」だからさ(笑)。
これをガイドライン風に言うと「賃借人の使い方次第で発生したりしなかったりするもの(明らかに通常の使用による結果とはいえないもの)」となり、つまりは「賃借人負担」ってこった。

③ヤニが廻ったら「全体」が対象になるぞ。要注意だ

タバコに関しては厳しいンだよね。
「喫煙等により当該居室全体においてクロス等がヤニで変色したり臭いが付着した場合のみ、居室全体のクリーニングまたは張替費用を賃借人負担とすることが妥当と考えられる」だってさ。部分張り替えなんて逃げ道はないのよ。
建具やその他設備にしたってさ、「クリーニングについて、経過年数は考慮しない。賃借人負担となるのは、通常の清掃を実施していない場合で、部位もしくは住戸全体の清掃費用相当分を全額賃借人負担とする」とあるんで、ヤニが廻ってネッチャネチャになってる場合は当然に請求されるのだ。

④他に救済策はないのーっ??

まあ、なくもない。が、あんまし教えたくはない(笑)
このガイドラインによれば、「経年変化・通常損耗は必ず前提になっており、経年変化・通常損耗の分は、賃借人は賃料として支払ってきているところで、賃借人が明け渡し時に負担すべき費用にならないはずである」ということで、つまり長年住んだ場合に内装の価値が下がる分は賃料に含まれてるでしょ?という話。
壁や天井のクロスを例にとると「6年で残存価値1円となるような負担割合を算定する」なんだってさ。コレを元に原状回復費の減額交渉をするのはアリだ。

賃貸トラブル・耐用年数と価値の図

ただし。コレにしても東京ルールにしても、あくまでも「ガイドライン」なんだわ。
本文にも「民間賃貸住宅の賃貸借契約については、契約自由の原則により、民法、借地借家法等の法令の強行法規に抵触しない限り有効であって、その内容について行政が規制することは適当ではないとあるように、「トラブルの未然防止の観点からあくまで現時点において妥当と考えられる一般的な基準をガイドラインとしてとりまとめたもの」でしかないのだ。
よって強制力も法的拘束力もない。それは忘れないようにな。

【結論】「被害」を最小限に防ぐ「手段」も大事だぜ

そいやさ、ある単身者向け賃貸マンションの退去立会に行ったときの話。
微かにタバコの臭いはするんだけど、部屋はいたってキレイで、クロスの張り替えの必要は認められない。
「タバコ吸っておられましたよね〜?」って訊いたら、「はい、トイレの中だけで」って。
トイレのドア開けてみたら、そこの壁・天井だけが見事にヤニで黄ばんでんのよ。換気扇とかは綺麗に掃除してあったな。
「さあ、トイレのクロス代だけ計算して下さい」(ドヤっ)って言われちゃったわ(笑)

賃貸トラブル・ガッツポーズの画像

ガイドラインを盾に四の五の言うよりも、有効な「手段」ってヤツがあるってことさ。

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