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賃貸マンション・アパートにまつわるトラブル(騒音・漏水・煙草・訪問販売・鍵の紛失・共用部分・家賃の滞納・敷金返還・原状回復等々)を、下世話に、馴れ馴れしく、クドクドと、そして極めて偏った立場で解決を試みるサイト「賃貸トラブルQ&A」。役に立つ情報より立たない情報の方が多いかも。最初に謝っておきます。ゴメンナサイ。

賃貸トラブル・ライター

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Author : ぴーたん

賃貸住宅・火災保険等に長く携わる流れ者。よく出没する場所はホームセンターの駐車場。会う人逢う人に「スマホで宅建」をゴリ押しする「松本佳也推し」でもある。最近の趣味は「拭き掃除」とのこと。

賃貸トラブルQ&A  >  敷金・原状回復  >  自然損耗まで入居者負担とする特約は、適法?

賃貸トラブル・質問

賃貸マンションの入居申込をしたんだけど、契約書を良く読んだら「自然損耗も含め全て入居者負担とする」って文言が。違法じゃないの?

賃貸トラブル・不利益特約で敗訴確定の図
賃貸トラブル・回答

判例にもある様に違法性は高いな。こんなので訴えられたらまず勝てないぞ。貸主・管理会社諸兄は今すぐコンプライアンスの見直しを!!

消費者契約法」って、平成13年から施行されてんだぜ?
もう10年以上前から公布し施行されていることを考えると、まだこんな馬鹿げた契約書を使っている家主がいることに驚きが隠せないわ。
貸主・管理会社諸君、こんな特約、全面敗訴確定かも知んないぜ?

①自然損耗分の補修費は「家賃」に既に含まれている!!

この考え方についてはガイドラインもヘチマもなく「判例」すなわち法の解釈として「有効」なんだわ。まずはここが重要。
賃料ってのは「使用の対価」であり、その中には当然に「使用することにより生じる、故意または過失でない汚損等」も含まれてるんだね。
どんな汚損等が自然損耗に含まれるかは、この記事のひとつ前のヤツを読んでおくれ。
平成17年・東京地裁の判例で引用すると「貸主において使用の対価である賃料を受領しながら、賃貸期間中の自然損耗等の原状回復費用を借主に負担させることは、 借主に二重の負担を強いることになり、貸主に不当な利得を生じさせる一方、借主には不利益であり、信義則に反するってことになる。

②契約書=「全てに合意」とは看做されない、らしい

貸主側からすれば、「契約書に書いてあるし、ちゃんとハンコも押してるじゃないか。今更何言ってんだ!!」って話だろう。
要は「記名・押印」=「合意」って言いたいんだな。けどそうは問屋が卸さないんだって。
なんでも「借主に不利な契約内容での合意は、借主がその内容を理解し不利な義務を負うことを認識していなければ、そもそも合意したことにならない」ということらしいぞ。
いやー厳しいね!!(笑)。つまりは「契約者さんにめっちゃ不利な特約がありますが、それでも契約しますか?」とでも書かれた合意書にでもサインさせてないと、対抗は難しいってことだな。

③申し込み段階なら、どうなんの?

いやこれシビアな問題だよね。
もし重要事項説明等で特約についての説明がなく、後から(審査通過後等)契約書を渡され、その時に発覚した場合。
上記の「借主に不利な契約内容での合意は…」云々の項目をよくよく噛み砕くと、不利な契約内容すなわち「自然損耗も借主負担である」旨を重要事項説明その他でキッチリ説明してなければ、契約は「合意に至ってない」と解釈できるのかも知んないな。

また「消費者契約法」第四条には「重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認」をした時には、「当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示」を「取り消すことができる」とある。
どっちにせよ手付金放棄による申込みの「解除」ではなく、「取消し」が可能っぽいな。要は契約を「白紙」にするってこと。もし何らかの金銭を既に支払ってしまっている時は、「取消し」が可能なら貸主は全額返金する必要がある

賃貸トラブル・ちゃぶ台返しの図

契約の「ちゃぶ台返し」を喰らっても、割れた茶碗代すら請求できないってこった。

【結論】家主業が儲からないのもワカルけどさ…(笑)

一昔前なら、中古の収益物件の利回りとか、余裕で10%超えてたのにね。
某サイトを覗いてみても6〜7%台、ザラだしなぁ。
しかも最近は入退去のサイクルも早く、その分修繕費だの広告料だのなんて引き算してたら…ねえ?

ま、ワカルんだけどさ。けど、勝てない戦の火種は早めに消しといた方がいいな。

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